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Shaped by the Sea

 

ストップ1:この土地の先住民部族の承認と尊重

 

  • オーストラリアは、数万年にわたりこの大陸で暮らしてきた数多くの先住民アボリジニの部族の土地です。

  • オーストラリア国立海洋博物館は、Eora[エオラ]の民であるGadigal[ガディガル]族の方たちを、私たちが働くこのbamal(大地)とbadu(水)を古来から守ってきた者として承認し、尊重します。

  • また、当館はオーストラリア全土の大地と水を古来から守ってきた方たちの存在を認め、彼らとその文化、そして過去から現在に至るまでの長老の方たちに敬意を表します。

 

 

ストップ2:Shaped by the Sea - 入口エリア

 

 

  • Shaped by the Sea[海にかたちづくられて]は、オーストラリア国立海洋博物館がお届けする、大規模展示です。この展示ではこの島大陸とその海岸線、その河川、そしてそこに住む様々な部族たちのものがたりが語られています。
  • Shaped by the Seaには、オーストラリアを囲む沿岸の海の海面上昇を描いた太古のものがたりが含まれています。こうした先住民アボリジニの視点は、最後の氷河期が終わった後の沿岸部浸水や海面上昇についての科学的な説明を伴いながら、共有されています。同展示ではこのように、異なる2つの知の体系が、太古のオーストラリアの1つのものがたりを通して織り上げられています。
  • この展示のデザインは、海は生き物であるという考えからインスピレーションを得たアプローチを採用しています。ギャラリーは、水の動きを模していますー 大地と海と空をつなぐ壮大な旅の中で、水の流れや渦潮を感じてお楽しみください。
  • Shaped by the Seaは、私たちの過去を知るための様々な手段の存在を認め、包含しています。この展示では、社会的・精神的なつながりが海や河川に浸透し伝承されていく、生きた文化知識の存在を取り入れていくことの重要性が強調されています。このような視点から得られるこの世界についての理解は、科学や考古学、歴史などのみを通して得られる知識を、さらに豊かにしてくれます。
  •  この展示は、幾世代にもわたり私たちの海や河川と共に生活し、それらを守り、維持してきたオーストラリアの先住民族たちの間で受け継がれてきた知識や、彼らの習慣を参考にしています。また、それと同等に、同展示は先住民のもの以外の伝統も、河川や水との深いつながりを促進させることを認めています。
  • Shaped by the Seaは、オーストラリア人だけでなく、すべての人々に向けて、これらの自然や文化との接点を呼び覚まし、その存在を認識させてくれます。

 

 

 ストップ3:Shaped by the Sea- 海とDhaŋaŋ Dhukarr

 

 

これは、地図と海図の作成、そして海岸線や水路と先住民アボリジニのことばで「Sea Country[海国]」と呼ばれる、オーストラリア全土の海や動植物、気候、潮流をはじめとした海岸線の周辺環境を理解することについてのものがたりです。

  • これまでいかにして多くの者たちが、私たちのこの国の海岸線や河川を地図・海図に記してきたのかについて、様々な視点からのものがたりに聴き入りましょう。ここでは、1700年代のヨーロッパ人による地図作成法を、Yorta Yorta[ヨルタヨルタ]族の文化指導者たちが作製したポッサム皮のマントに記された河川図と比べてみることができます。
  • 貝殻を使った釣り針の作り方の展示をはじめとして、海や河川の恵みがいかにして数千年にわたり採取されてきたのかを見ることができます。

 

 

Dhaŋaŋ Dhukarr 「いくつもの道」

  •  展示の中心的な要素は、オーストラリア北部準州内の先住民アボリジニ居住区であるアーネムランドの北東部に拠点を置くMulkaプロジェクトによる、Dhaŋaŋ Dhukarr-「いくつもの道」の意-です。同地は、Yolŋu[ヨルング]族が伝統的に故郷としてきた土地です
  • 大地と海と空は、ヨルング・Dhuwaya[デュワル]のことばでDhaŋaŋ Dhukarr(いくつもの道)と呼ばれる中心にある空間で、ひとつになります。ここでの体験は、この展示の中で取り扱われている知識の多くが書物に記されたものでも、時系列に沿って描かれたものでもないことを実体験的に示しています。
  • アボリジニの部族たちが持つオーストラリアの環境の歴史に関する知識は、歌やパフォーマンス、そして象徴的なモチーフなどのかたちで保存されています。ここではそうした知識が、アボリジニ・コミュニティの方たちが自らのものがたりを今日の鑑賞者・来館者に向けて提示しようと選んだかたちで共有されており、私たちが先住民たちの知識を正しく認識・享受できるよう後押ししてくれています。
  •  ヨルングの世界における大地と海と空は、人間を含むこの世界のすべてが2つのどちらかに属するとする「半族」の考え方の2族であるYirritja[イリチャ]およびDhuwa[ドゥワ]の歌の様々な詞で表現されています。Mulkaプロジェクトによる作品では、イリチャとドゥワがそれぞれ表す地・水・空の要素が、年長の伝統文化アーティストとヨルングのデジタル・アーティストの共同制作により描かれています。
  • Mulka Projectが制作したこの強烈な印象を残すインスタレーション作品は、太古のオーストラリアをループ形式で表しています。Mulka Project自身のことばを借りれば、Dhaŋaŋ Dhukarr[いくつもの道]は、作品が表現している複数の部族集団を、そしてループを通して歌われている詞が描く旅を、象徴するものなのです。

 

 

 

ストップ4:Shaped by the Sea - 大地

 

 

大地

  • 今日、オーストラリア人の多くは、先住民アボリジニの人々が「Country[カントリー]」について語るときに何を指しているかを理解しています。カントリーとは、ただ土地や大地のみを指しているわけではないのです。カントリーとは、その場所・その土地に住む人々をかたちづくり、また、その人々によりかたちづくられる生命体であるという認識と感覚なのです。
  • オーストラリア大陸の外観についての現代の私たちの理解は、多くのアボリジニおよびトレス海峡諸島民の部族の先祖たちが過去にどのようにオーストラリア大陸を見てきたのかと、大きく異なります。
  • かつて湿地であった場所がいまでは乾いた砂漠になり、山の頂は島になりました。かつては何世代にもわたり恵みをもたらし家族を存続させてきた、どこまでも続く海岸線は、いまでは海のはるか深くに沈んでいます。
  • この展示の「大地」を巡る旅は、科学者たちが数千年単位の海面の変化を解明しようとサンプルを採取してきた珊瑚礁へと、私たちを導いていきます。
  • その同じ場所で、私たちはクイーンズランド州北部のYidinji[イディンジ]族のダンサーたちが演じるものがたりから、彼らの祖先が、最後の氷河期後に海面が上昇する以前に現在グレート・バリア・リーフが息づく場所をどのように歩いていたのかを学びます。

 

 

 

ストップ5:Shaped by the Sea - 空

 

 

  • ここで語られるのは、航海技術のものがたり。
  • 空からの眺めは、それがアボリジニ・アートでも、衛星画像でも、私たちのこの国の海岸線が壁などではないことをあらためて実感させてくれます。 海岸線は、大地が海の下に潜っても広がり続け、海と大地が常に交わり合っていることを示しています。ここで見られるのは、太古の昔の奥深くにある真実であり、どんな文化背景を持っていようと、私たち皆が共有できるものです。
  • このギャラリーは、私たちが時空の中で、空にうかぶものたちを頼りにどのようにしてここまでたどり着いたのかを考えるよう、問いかけて来ます。
  • Ilma[イルマ]には、Bardi[バルディ]族が演じる儀式と、彼らのものがたりや歌、そして掟を教え伝える際に使われる手持ちの器物という2つの意味があります。Ilmaは航海機器と道案内、そして旅の知識を描いたものだとイメージしてもらうのが良いかもしれません。Ilmaはまるで衛星が大陸をまたぐ軌道で周回するように古来から受け継がれてきたものであると同時に、モダンな機器としても機能しています。
  • Zenadth Kes(トレス海峡諸島)のジュゴン狩りたちは、獲物を見つけて狩り立てるのに月と星を使いますし、現代の技術である人工衛星は、安全な航海に役立てられています。
  • Zenadth Kes(トレス海峡諸島)系アーティストであるAlick Tipotiによる作品で、Kisay DhangalDhangalKala Lagaw Yaの言語でジュゴンの意)と呼ばれるブロンズ彫刻に、驚嘆を感じてください。伝統的なモチーフと真珠貝があしらわれたKisay Dhangalは、Dhangalの一生とライフサイクル、そして食事パターンを反映した作品です。

 

 

  

 ストップ6:Shaped by the Sea - PDLC(ピーター・ドイル 学習センター)から最寄りの入口パネル

 

 

  • Shaped by the Sea[海にかたちづくられて]は、オーストラリア国立海洋博物館がお届けする、新しい大規模展示です。この展示ではこの島大陸とその海岸線、その河川、そしてそこに住む様々な部族たちのものがたりが語られています。
  • Shaped by the Seaには、オーストラリアを囲む沿岸の海の海面上昇を描いた太古のものがたりが含まれています。こうした先住民アボリジニの視点は、最後の氷河期が終わった後の沿岸部浸水や海面上昇についての科学的な説明を伴いながら、共有されています。同展示ではこのように、異なる2つの知の体系が、太古のオーストラリアの1つのものがたりを通して織り上げられています。
  • この展示のデザインは、海は生き物であるという考えからインスピレーションを得たアプローチを採用しています。ギャラリーは、水の動きを模していますー 大地と海と空をつなぐ壮大な旅の中で、水の流れや渦潮を感じてお楽しみください。
  • Shaped by the Seaは、オーストラリア人だけでなく、すべての人々に向けて、これらの自然や文化との接点を呼び覚まし、その存在を認識させてくれます